ここでは、私の見た映画(基本的に映画館で見たもの)の感想を書いていきます
(全部ではないです)。これから、見る映画の参考になる。かな?
【 千年の恋 -光源氏物語- 】
東映50周年記念 作品 in 難波東映
観客に、おばさんや女性グループが多い。
でも、おばさん連中は途中で帰って行く^^;。正直だ…。
松田聖子の挿入歌には、皆失笑を漏らす。
何処にでも意味も無く出没し、空を飛んだり、炎の中で踊ったり、
水の中で歌ったり、ストーカーのように大活躍^^;。
洋画のミュージカルを意識しているのだろうが、何よりも「和歌」
ではなく、「歌謡曲」のメロディなのがまず過ぎる。
ミイラのようになった光源氏にも、女性は引いていたようだ。
栄枯盛衰を表現するためだろうが、甘い甘美な世界を想像していた
女性には受け入れられなかったようだ。
現代人には女性蔑視と受け取られかねない世界を、上手く
消化出来ていたとも思えない。
又、紫式部(現実)と光源氏(物語)のストーリーが交互に展開される
構成も、どちらも現代人には馴染みの無い世界なので、混乱している人も
多かったのではないか。
肝心の「源氏物語」も、時間内に全てを納めるために、ダイジェストに
なっていて原作をある程度知らないと、訳が判らなかったようだ。
2時間半近くと長尺なのも辛い。
近くの女性の会話。「全然判らんかった。顔も立場もわからへん。
取りあえず、昔の女の人は大変やったんやな。うちには、絶対耐えられへん。」
との事。
確かに、妙に現代の女性客に媚びていて、紫式部が娘に「あなたの世代は、
あなたが殿方を選びなさい。」とかぬかしている。男尊女卑!?。
「私には耐えられない」とか言ってる女性の方が、生まれた時代に上手く
適応して、案外馴染んでいると思う^^;。
---【 光の雨 】
高橋 件明 監督 in パラダイスシネマ
立松和平の同名小説の映画化。
連合赤軍のリンチ殺人事件から浅間山荘事件に至るまでを描いた小説『光の雨』
の映画化の模様をドキュメンタリ風に描いたもの。
これが、なかなか凄い作品。
「彼等の心情はよく判らない」という役者達が、役柄に成り切ろうと当時の
過激派の心情に思いを馳せる。ふとした切っ掛けで、現代の若者と当時の
過激派(若者)との心情の一致点や相違点を浮き彫りにしながら物語は進む。
緊迫したシーンの連続の合間にふっと入る「はい、カット!」の声。
これは映画の撮影なのだ。フィクションなのだ。と観客の気を抜かせて、
さらに役者に感情移入させていく。緩急の妙。その力技は、見事。
凄惨なリンチ描写は、『バトル・ロワイヤル』風だが、これは実際にあった
事件なので、リアリティがまるで違う。
「自己批判しろ!総括しろ!」その結果が、「私刑(リンチ)」。
あの事件は何だったのか?を考える手掛かりとして、若者特有のこれらの
高い理想と世間に対する無知、純粋な想いと焦りを「役者志望者」を
通じて描いたのが、良かった。
---【 殺し屋1 】
三池 崇史 監督 in ガーデンシネマ
『鬼畜大宴会』よりも壮絶なシーンの連続。
リアリティは無いけど。指の代わりに舌を詰めるシーンは、思わず目を背ける。
---【 空の穴 】
熊切 和嘉 監督 in 扇町ミュージアムスクエア
『鬼畜大宴会』の熊切監督の新作。
徹底した「動」の前作とは打って変わって、「静」の作品。
---【 シュレック 】
ドリームワークス 制作 in 三番街シネマ
ディズニーを筆頭とした「おりこうさん」アニメに対するアンチテーゼ。
下品で、はちゃめちゃ。美女と野獣が、最後「いつまでも、醜く暮らしましたとさ」。
---【 ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃 】
金子 俊介 監督 in 北野劇場
案外、子供達が泣き叫ぶことも無く「面白かった」「ゴジラに負けるな、ガンバレー」
とか応援する子供が多かった。
内容は、一部怪獣プロレスだったが、まぁ、良い出来。
金子監督の政治思想?を反映している点も、悪くない。
貿易センタービルの崩壊そのもののシーンも、そのまま上映されていた。
怪獣を「怨念の集合体」としたので、亡霊同士の闘いになってしまっていたが^^;。
後、考えてみれば、無軌道な若者、危機感の無い観光客などが、次々と怪獣に
「天誅」されていく様は、『ケンペー君』(ならやたかし)の方法論と一緒やね。
---【 とっとこハム太郎 -ハムハムランド大冒険- 】
出崎 統 監督 in 北野劇場
タイアップのモーニング娘。「ミニモニ」ならぬ、「ミニハム」部分に
力が入っている^^;。
主人公のハム太郎がずっと落ち込んでいて、劇場版らしくない
うじうじした展開。もっと、弾けた方が良かったのでは?
---【 NN891102 】
○○ 監督 in PLANET+1
長崎の原爆の爆音を偶然録音した少年が、爆音を再現することに
一生を費やす物語。
結構、凝った構成だが習作なので、判り辛い。
志は買うが、情熱(パッション)が空回り。まぁまぁの出来。
紙芝居屋さんなどの演出など光る部分はある。
今後に期待。
---【 怪獣大決戦ヤンガリー 】
○○ 監督 in シネマ・ドゥ
莫迦莫迦しくて、良い。
---【 ハリー・ポッターと賢者の石 】
J.K.ローリング 原作 in 難波松竹
無茶苦茶、面白い。ワクワクする。
原作は読んでいないが、子供達が夢中になるのも解る。
---【 アトランティス 】
ディズニー 制作 in 難波松竹
ディズニー版、宮崎アニメ?
---【 W/O 】
○○ 監督 in Planet+1
東大駒場寮、廃寮闘争の記録をコラージュしたもの。
---【 楢山節考 】
今村 昌平 監督 in 図書館 AVホール
深沢七郎原作の映画化。
2度目の視聴だが、大学時代に観ていてトラウマになったシーンの数々を思い出す。
今村昌平監督、緒方拳主演。流石である。
ほとんどのシーンが印象的で、衝撃的。
ストーリーも、難しいテーマを分かり易く伝えていて、感心する。
---【 ムーラン・ルージュ 】
○○ 監督 in 三番街シネマ
忙しくて、目が回る演出。
『タイタニック』を意識したような大恋愛物語…のつもりかもしれないが、
彼女が死ぬ悲劇が予定調和で、主人公の回想シーンでストーリーを追う構成も、
あまり良くなかった。
演技も、ストーリー自体も、陳腐な感じ。キャラクターが、ステレオタイプ
過ぎるし、あまりのも鈍感過ぎる。
「この世で一番幸せなことは、愛する人に愛される事」。これが、テーマ。
しかし、結果は悲劇。
---【 ピストルオペラ 】
鈴木 清順 監督 in テアトル梅田
奇抜な極彩色な演出。荒唐無稽なストーリー。訳の判らないダンディズム。
…かっこいい!^^;。
---【 神の子達 】
○○ 監督 in 中央公民館
フィリピンのゴミの山に暮らす人々のドキュメンタリ。
日本のゴミ箱を漁る浮浪者よりも、ひどい生活のはずなのに、
着る物は、結構こざっぱりしている。
毎日を生きるのに精一杯なのに、家族を作り育て上げる
バイタリティには、脱帽。
---【 エボリューション 】
○○ 監督 in 永楽シネマ
思った通りの馬鹿映画。予算も、少なそう。
---【 不思議惑星キン・ザ・ザ 】
ゲオルギー・ダネリア 監督 in テアトル梅田
シュールなソビエト製SF。
間の抜け具合で、頭が変になる^^;。
---【 リリィ・シュシュのすべて 】
岩井 俊二 監督 in 梅田ガーデンシネマ
14歳のリアル。
いじめ、暴力、援助交際と陰惨なのはともかく、ストーリーが分かり辛い
のがマイナス。
14歳、負の部分を強調する作風は、庵野秀明の影響かな?。
人物が錯綜しているのと、時系列も弄っている様なので、パンフレットや
原作小説を読まないと理解できない個所が多いのではないか?。
映像は、相変わらず美しいだけに、惜しい。
---【 シベリアの理髪師 】
○○ 監督 in 交通科学博物館
あのマシーンが「理髪師」とは…なんじゃらほい。
感動的にしようとしているようだが、間抜けなだけのような…。
---【 打ち上げ花火 下から見るか 横から見るか 】
岩井 俊二 監督 in 梅田ガーデンシネマ
子供の視点から、日常を切り取った佳作。『四月物語』と同じ視点。
僕の好みからは外れているが、良い作品。
子供は「あの時、水泳に勝っていれば…」と願うと、それが実現するシーンは、
以前に見た記憶が…。デジャブかな。
---【 UNDO 】
岩井 俊二 監督 in 梅田ガーデンシネマ
強迫性緊縛症候群という精神病に掛かった女性の物語。
最初の亀の散歩シーンは、なんなんだろう?。
亀甲縛り!?。
---【 GO 】
金城 一紀 原作 in 梅田東映
在日韓国(朝鮮)人の物語。
かっこいい、青春物語になっている。
「広い世界を見るのだ」
---【 カルテット 】
久石 譲 監督 in 梅田東映パラス2
久石譲の初監督作品。音楽と映像がぴったり合っていて、全編コンサートの気分。
その分、お菓子などでガサガサした音が不協和音となって、聞き苦しい。
気分悪し。
お客も、最後のエンディング音楽で立つ人は、ほとんどいなかった。
台詞を極力排して、出来るだけ旋律で感情表現している所も、良い。
花火の場所で、「となりのトトロ」を演奏するシーンでは、
何故かこみ上げて来るものがあった。
---【 リトル・ダンサー 】
○○ 監督 in 交通博物館
---【 パルチザン前史 】
土本 典昭 監督 in PLANET+1
京都大学全共闘の闘争映像。わりと映像に凝っていて、見てて楽しい。
百万遍での、火炎瓶を使った闘争映像などは、凄い迫力。
時々、機動隊寄りの映像が混じっていたりするのが謎。
京都大学校舎に放水しているシーンなどは、初めて知った。
火炎瓶の作り方講座は、ヤバイ。濃塩酸30mlに、ガソリン一杯。
周りに、カリウムに浸した紙を巻き付けて出来あがり。
最初は主役不在だったが、徐々に、ある幹部にスポットが当たり、
最後は彼が革命の為に、バイトとして漁業して働いている場面で終る。
「面白かった!、もう一度みたい」と言っていた人がいたが、
2度観る根性は無い^^;。が、一度は見ておくべきだろう。
---【 青の森-関学闘争の記録 】
○○ 制作 in PLANET+1
---【 日大闘争/続・日大闘争 】
日大芸術学部闘争委員会 制作 in PLANET+1
---【 赤軍-PFLP-世界戦争宣言- 】
足立 正生(=若松 孝ニ) 監督 in PLANET+1
パレスチナ解放人民戦線で共闘している、若き日の重信房子が
出演している事で、有名。
---【 少女 】
奥田 瑛二 監督 in 梅田OS劇場
うーん、少女役があまり可愛くない。
2時間半と、無意味に長い。
警官の心情はなんとなく分かるような気はするが、少女が警官に想いを
寄せる心情が全く分からない。
刺青まで入れる心境になる過程が、きちんと描かれていないように思う。
色々なドロドロした人間関係が絡み合ってくる事自体は良いのだが、
絡み方がうまくいってないように思う。
最初の人間関係と、少女と警官が出会う事による人間関係の変化。
うーん。
---【 ヤマカシ 】
デュック・ベッソン 監督 in 梅田ピカデリー
フランスに実在する、クライマー集団「ヤマカシ」を主人公にした物語。
身軽なアクションが身上。ストーリーは、大した事無い。
「ヤマカシ」に憧れて、死にそうな子供の為に、医者から金を盗み出す
「ヤマカシ」と、警察との追いかけごっこ。
警察内部の、協力者など、基本は押さえているが、彼らが50万フランで心臓を
買ったおかげで、心臓移植できなかった、「もう一人の患者」の事は、完全無視。
これは、しょうがないのか!?
彼らにさえ憧れなければ、少年は心臓が必要無かったのに…。
---【 ザ・メキシカン 】
ブラッド・ピット 主演 in 交通博物館
「メキシカン」という、曰く付きの銃を巡る物語。
人が一杯死ぬのに、ラストはハッピーエンドというアメリカ映画には、良くある話^^;。
ストーリーもよく判らないし、銃にまつわる伝説が、人によって全然違う意味も、
よくわからない。
周囲の女性などは、感動した様だ。
『フィールド・オブ・ドリームス』を観た時と同じような疎外感を感じる。
---【 カウボーイ・ビバップ -天国の扉- 】
サンライズ 制作 in 千日前弥生座
スタイリッシュな映像、こだわりの音楽、男のダンディズムは、
相変らずで良かった。しかし、ストーリーは大した事無いし、
破綻している?。
敵役が、霧の様に消える理由も、スパイクと教授とが出会う必然性も、
敵がフェイを助ける理由も、最後に人間の心を取り戻す理由も説明不足。
ビバップが宇宙を行くシーンも少ないのが不満。最後の軍との
ドッグファイトシーンも、意味が無い。
後、劇場の音響設備が悪いせいか、音のレベルがおかしかった。
---【 テルミン 】
テルミン博士 主演 in 梅田ガーデンシネマ
実話ドキュメント。テルミンという不思議な電子楽器に魅せられた人々と、
テルミン博士の数奇な運命の人間模様。まぁまぁの作品。
人間によるラジオの電波障害がヒントと言うところが、ユニーク。
正に、「ソビエトのエジソン」。
---【 エレクトリック・ドラゴン・80000V 】
浅野 忠信 主演 in テアトル梅田
テクノ、ノイズサウンドで全編彩られた、モノクロ1時間。
デビルマンのような、ダークヒーロー物?
主人公が、電撃人間なのは良いとして、何故に「爬虫類と心を通わせる?」、
何故に「動物探し」の仕事をしている?考えたら、負けかも。(何に?)
竜眼寺盛尊(りゅうがんじもりそん)と、雷電仏像(らいでんぶつぞう)の
戦い。
…五月蝿いまま、終る。
パンフレットには、内田春菊が「電気は大切に〜!」という、東京ローカルな
でん子ちゃんのパロディを描いている^^;。
---【 レッド・シャドウ -赤影- 】
中野 裕之 監督 in ホクテンザ
東映50周年記念作品?。
完全に、中野裕之監督テイストの『赤影』。
出だしに、いきなり『SAMURAI FICTION』の侍登場。
赤影がやられそうになって「又、会おう」。結局、最後まで登場せず…。
なんじゃそりゃ!?。
「時間よ止まれ」などの伏線も、全然繋がらない。
ギャグも外しまくり。
竹中直人も、作品世界から浮いている。
忍術も、限りなく地味。そういうオリジナル作品なら良いけど、
原作付きで一世を風靡した『赤影』でこれをやるか!?。
ヒロインがするねずみの真似は可愛い^^;。ヒロインが死んでから、
少しシリアスになるが、話のスケールも闘いも地味。
最後は、青春映画。夕日の沈む海に向かって、走る^^;。
---【 ゴースト・ワールド 】
テリー・ツワイゴフ 監督 in ガーデンシネマ
アメリカの人気コミックの映画化らしい。
思春期から大人への境界上の女の子の話。
音楽(レコード)おたくの男性の描き方が面白い。
---【 ドリブン 】
シルベスター・スタローン 主演 in 松竹ピカデリー
事故(クラッシュ)シーンは、単なる客寄せで、ストーリー自体は普通
…なつもりなのだろうが、破綻している。
シルベスター・スタローンが、役柄も映画上の扱いも、新人の補佐役で
ほとんど活躍しないのも凄い。
ラストシーンのカタルシスも、あまり無い。むしろ、哀愁さえ漂う。
日本でのレースシーンが、面白かった。
---【 ジュラシック・パークIII 】
スティーブン・スピルバーグ 監督 in 北野劇場
90分強の掌編。
ストーリーらしきものはほとんど無くて、単なる恐竜の品評会。
まぁ、潔いといえば潔い。
恐竜の迫力は、流石。
---【 羽音 】
早川 竜二 監督 in PLANET+1
「僕の周りは汚らしい奴等ばっかりです。」
妖精を捕まえた高校生の、内面世界。
静かに、周囲が歪み、そして本人自身が崩壊してゆく様が、
淡々と描かれている。
そして、衝撃のラスト。
「これは、繊細で残酷な現代のメルヘンである。」
http://ha-o-to.hoops.ne.jp/
---【 鉄腕アトム -地球最後の日- 】
手塚 治虫 原作 in 京都・手塚治虫ワールド
20分たっぷり使っている。
『新世紀エヴァンゲリオン』っぽい描写もある^^;。
出来は、まぁまぁ。御茶ノ水博士の底の浅さが気にはなったが。
---【 けものがれ、俺らの猿と 】
町田 康 原作 in テアトル梅田
満席。内容は…良く分からんまま、終る^^;。
夢と現実が交錯して…たのかな?
---【 パールハーバー 】
マイケル・ベイ 監督 in 難波東映
(感想はまだです。)
「メモ」
・ 『アルマゲドン』のスタッフ
・ 『タイタニック』『風と共に去りぬ』もどき
・ ダニー・レイフ・イヴリン
・ ダニーの父
・ レイフの識盲
・ 2人の男を翻弄する女
・ 見送りはいらない → テスト → 遅刻するし^^;。
・ タイタニック・事故 → パールハーバー・志願 の違いがある
・ 死ぬのも、お涙頂戴の為だけ → 結構、主人公に感情移入して泣いている。
・ 軽くする飛行機 → アメリカ人には珍しい「努力・根性」
・ ドイツ軍の描写
・ 『SKY』(六田登)
・ 日本人の描きかた(外で、作戦会議^^;)
---【 千と千尋の神隠し 】
宮崎 駿 監督 in 北野劇場
10才の子供向けというだけあって、カオナシの位置付けや、
湯婆々などの登場人物が絵本か童話の様に分かり易い作りになっている。
(でも、奥は深そう。)
派手なアクションや見せ場は無いものの、しっかりした手堅い作りと、
楽しい動き。
ラストは、少し弱いか。
エンディングの後も、あっさりしている。
ラスト近くの髪飾りのシーンの意味は!?。
海を走る電車内のシークエンスは、宮沢賢治の世界かららしいが、
『新世紀エヴァンゲリオン』からも、かなり影響を受けているように
感じた。ちょっと、吃驚。
---【 レクイエム・フォー・ドリーム 】
アロノフスキー 監督 in テアトル梅田
ドラッグで破滅してゆく家族を描いた作品。
冷蔵庫が襲ってくる!
---【 A.I. 】
スティ−ブン・スピルバーグ 監督 in 難波松竹
制作のスタンリー・キューブリックの遺志をスピルバーグ監督が継いだ作品。
人工知能と「愛」を持った少年ロボット(ピノキオ)が、「人間」になるまでを
描いたファンタジー。
基本的ストーリーは、アンドリュー NDR114と同じである。が、「アンドリュー」
よりもストーリー的には不自然な点が多い。
前半は、キューブリック的な雰囲気が微かに漂っていたが、後半宇宙人が出てくる
辺りから、完全にスピルバーグ節になってしまっている^^;。
大体、2000年後に宇宙人に復活してもらった「ニセお母さん」に、「本物の子供」
として扱ってもらっても全然問題解決にはなってない気がする…。
しかも、2000年氷漬けになっていても、動ける動力源を持ちながら、
最後はあっさり永遠の眠りにつくし…、貴重なサンプルとして大切に
扱っている宇宙人も困るではないか^^;。
というよりも、同様のロボットは量産されなかったのだろうか?
子役(ハーレイ・ジョエル・オスメント)の演技力は凄かった。
---【 バーシャ! 】
スーパースター・ラジニカーント 主演 in 動物園前シネフェスタ
『ムトゥ 踊るマハラジャ』と同時期らしくて、フィルムも劣化してる。
お蔵入りしていたこの作品を、関西のファン達の力で上映までこぎつけたらしい。
「お気楽ムトゥ」に対する「任侠のバーシャ!」という評価らしい。
で、インドでは『バーシャ!』の方が人気が高いらしい。やはり、浪花節の方が
受けるのかなぁ^^;。
「日本人は仕事好き。中国人はお金好き。イギリス人はプライド好き。
インド人は話好き。」というセリフが出てくるが、「話好きの大阪人気質」と
「インド人気質」は近いのかもね。
内容は、高倉健の「仁侠映画」とか「トラック野郎シリーズ」に近いものがある。
耐えて耐えて耐え抜いた末に、仲間を助けるために、主人公が単身敵地に乗り込み、
敵をなぎ倒す。
しかし、3時間枠で、これをやられると前半がかなり辛い…^^;。
---【 JSA 】
パク・チャヌク 監督 in ワーナーマイカル・シネマズ西大和
韓国映画。『シュリ』を超えたという触れ込み。
男女の恋愛要素は無く、「国境を超えた」男同士の友情が中心の話。
「恋人や親友が、家や戦争によって引き裂かれる悲劇」というのは、
ありきたりな話ではあるが、朝鮮半島の「民族の悲劇」により悲壮感が
一層漂う。
こういう「悲劇」をエンタテインメントに昇華出来るだけの実力を
韓国の若い世代が持っているのが凄い。日本映画は衰退の一途だが、
韓国映画はこれからどんどん活性化しそうだ。
謎を含みつつ、時間軸とストーリーが交錯する構成なので、2回観た
かったが、完全入替制なので、泣く泣く退館する。
これだから、ミニシアターは嫌いだ。
---【 式日 SHIKI-JITSU 】
庵野 秀明 監督 in 扇町ミュージアムスクエア
前作の『ラブ&ポップ』では「援助交際」少女が。今回は、「ひきこもり」の
少女が主人公。期せずして、世間の流行がテーマになっている。
でも、監督自身には流行なんてどうでも良いのだろうけど^^;。
「心が壊れている」少女が、「自分の誕生日」を取り戻すまでの
1月間を、映画カントク(庵野の分身)の視点とビデオカメラの映像で切り取る。
基本設定は、『実験映画』と似通っているかも。
赤を基調にしているらしいが、それほど鮮烈な赤ではなかった。くすんだ赤か?
映像の切り取り方の妙は、健在。身を任せるだけで心地良い。が、
「現在の日本における創作は、見る者の逃避・暇潰しの為以外の何者でもない。」
<映画の中の監督の台詞>と手厳しい^^;。
こういう挑発的な言動が、人によっては気に障るのだろうが、私は好きです。
岩井俊二演じる「カントク」が嵌り役。『白痴』における、浅田忠信
と雰囲気が似ているかも。
わざと、台本をきっちり創らずにアドリブを多用した為、それぞれの役者が
勝手に解釈したストーリーを展開し、客観的な事実(神の視点)が存在しない
というのも、この物語だとしっくり来る。
ほぼ全て(個々の人物の)主観的な「事実」しか語られず、問題無く客観的に
判断できるであろう主人公の「姉」の生死すら、はっきりしないままである。
「真実は人の数だけある」。
そして、最終的には2人の「恋愛映画」。そういう意味では、ビデオカメラも使うし、
『新しい神様』でもある。あれも、世間に馴染めない主人公(ミニスカ右翼)と、
それをファインダー越しに捉えようとする土屋「カントク」との恋愛映画でした^^;。
前作の『ラブ&ポップ』との共通項は多数。
・ 趣味の鉄道模型 → 自動車模型。
・ 「父親」のイメージが希薄。
・ 物語に関係しない「無機物」の多用。
・ 物語に関係しない「他人」の不在。
(特に、今回は徹底していて、山口県・宇部市には「主人公と関係する人」
以外は住んでいないのではないか?と思わせるぐらい「他者」が出てこない。
私が見た限りでは、「動物園」のシーンの背景に1人映っていた位。
これは、ある意味凄い。)
エンディングの映像は、空を横切る太陽の早送り。
最初は、抜けるような青空の中を雲が増減しながら流れてゆく。しかし、
段々雲が増えてきて最後はどんよりとした雨雲になってゆく。
これも、偶然だろうが、2人の先行きを暗示していて興味深い。
『ラブ&ポップ』のエンドロールの発展形。Coccoの歌も良い。
疑問)
・ 結局、喪服男の意味は?
・ 自転車男の眼帯は何だったのか?
・ 眼帯男の「指輪返せや!」とは?(アドリブか?)
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『式日 SHIKI-JITSU』
2000.12.07 東京写真美術館 128分 カラー シネスコサイズ
監督・脚本: 庵野秀明
原案: 『逃避夢』藤谷文子
エンディング:「Raining」歌: Cocco
男(カントク)・ビデオポートレート撮影: 岩井俊二
彼女: 藤谷文子
彼女の母親: 大竹しのぶ
男の声:松尾スズキ
女の声:林原めぐみ
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---【 メトロポリス 】
手塚 治虫 原作 in 京都・シアター1200
期待し過ぎていた為か、それほどの出来ではなかった。
りんたろう監督らしい、堅実な作りだが、どうも優等生的で面白みが無い。
(彼の監督作品に、共通する不満なのだが。)
メトロポリスという「大都市」が主人公だろうが、
そこに住んでいる人々の存在感がどうも書き割りっぽい。
その為に、「都市」自体の魅力も薄れる。
「独裁者」「一般市民」「ロボット」「地下生活者」「異邦人
(ケンイチ・ヒゲオヤジ)」そして「ロック」。
それぞれの思惑と利害が複雑に絡み合ってこその物語だと思うのだが、
中途半端。
ティマの揺れる心情も、描き込み不足を感じた。
CG(コンピュ−タ・グラフィックス)とセル画の融合も中途半端
であった。
ラストのカタストロフシーンも、強引過ぎる。そもそも、「王者の椅子」
という設定自体に説得力を持たせる努力をしていなかった様に思う。
レッド公が、ティマに拘る理由。ロックの歪んだ愛も、描き込み不足。
詰まる所、詰め込み過ぎなのかな?
製作者の思い入れが、強過ぎたのかもしれない。
---【 ツィゴイネルワイゼン 】
鈴木 清順 監督 in シネリーブル梅田
寡黙な映画。説明を徹底的に省いた演出は、スタンリーキューブリックの
『2001年宇宙の旅』のようだ。
非常に、難解。いや、深く考えないで観る方が正しのかもしれないが。
2時間半ぐらいだが、それ以上に長く感じる。
現実から、虚構へと変幻自在に移ろいゆく。
同じようなシチュエーションを繰り返す演出が、少々タルイ。
---【 死化粧師オロスコ 】
釣崎 清隆 監督 in Planet+1
コロンビアでは、死者に「防腐処理」を行い、
葬式を行う風習があるようだ。
その、エンバーミング(防腐処理)風景を
ドキュメントしたものが、本作品。
職人気質に、死体をまるでモノの様に捌いていく
映像は、衝撃的。
病院で解剖された後の死体だと、内臓と一緒に
脳が入っていたり、頭皮をはがすと、「脳無し」
の中身が見えたりして、グロテスク。
それ以外にも、殺人が日常化しているコロンビア
の町並み風景や、人々の生活状態なども、平和な
日本に住んでいては気付かないものを教えてくれる。
…ような気がする^^;。
---【 オータム・イン・ニューヨーク 】
ジョアン・チェン 監督 in 交通科学博物館
老プレイボーイが、若い薄幸の美人と恋に落ちて、彼女が死ぬ事により、
本当の幸せを得るというお話。
身勝手だ^^;。
---【 パダヤッパ 】
スーパースター・ラジニカーント 主演 in 扇町ミュージアムスクエア
内容は、典型的なインド映画。…と、言っても
『ムトゥ 踊るマハラジャ』位しか知らないが^^;。
3時間の長丁場。大人数を使った豪華絢爛なミュージカル。
後、日本人では考え付かないような部分に、チャチなCGを
使っているのが笑える。
「俺には俺のやり方がある。邪魔するな!」という決め台詞に、
ど派手な効果音。
しかし、「踊るマハラジャ」よりは、グレードダウンの感。
ストーリーが結婚を巡るエピソードで纏められていて、
日本との慣習の違いが判らないという事もあるが、その為に、
アクションシーンが地味になってしまっている。
巨大な敵も出てこないし、アクションも、主人公の圧倒的な
強さを表現する為か、雑魚しか出てこないし^^;。
主人公の挫折なども無いので、長丁場が多少だれ気味。
一気に18年経って、時間をすっ飛ばすのにも驚いたが、
その間 敵役が、ずっと「引きこもっていた」というのも、
凄過ぎる^^;。
カーアクションは、ど派手。ハリウッド映画でもそこまでは
しないだろうというぐらい、無茶苦茶にふっ飛ばす!。
---【 ボーン・コレクター 】
フィリップ・ノイス 監督 in 交通科学博物館
身障者の敏腕証拠分析官と、女性警官との交流を描いた、猟奇連続殺人物。
次々人が死んでいき、しかも結局は主人公への怨恨が原因。
身近な人がバタバタ死んでいくのに、ラストはヒロインと結ばれて、
ハッピーエンド。
敏腕分析官という設定だが、大したトリックが使われているわけでもない。
むしろ、敏腕なら犯罪を未然に防げと言いたくなる。
「何も考えずに観られる」という事を目指した、近年のハリウッド映画の
悪い部分の集大成のような映画。
「ボーン・コレクター」というタイトル自体にも、深い意味は無かった。
単に、殺人犯が 同タイトルの本を元に犯罪を起こしてゆくというだけの
理由。観客をなめている。
---【 アルマゲドン 】
? 監督 in DVD
見てると、トランス状態になれる^^;。
莫迦映画とは聞いていたが、底抜け。
穴掘り職人が、地球を救うために宇宙で穴を掘るだけでも莫迦だが。
何か1つやろうとすると、必ずトラブルが起きる。
そして、奇跡的に切り抜ける。
これのオンパレード。というか、それしかストーリが無い。
全編クライマックスで、頭が痛くなってくる。
ここに出てくる登場人物、全員底抜けの莫迦。
---【 ハンニバル 】
リドリー・スコット 監督 in 難波松竹
トマス・ハリスの原作の映像化。原作は、既読。
『レッド・ドラゴン』『羊達の沈黙』に続く、レクター博士3部作完結編に当たる。
初日は、梅田東映・松竹、難波東映・松竹の4館共にオールナイト。恐るべし。
内容は、かなり詰め込み過ぎで無茶苦茶ストーリー展開が早いが、
面白かった。
原作の全てのエピソードを映像化するのは、時間的に流石に無理なので、
強引な部分もあるし、不充分な所もあるが、これ以上の映像化は無理だろう。
逆に、原作を変更している所に、非常にセンスが光る部分が多かった
ように思う。
ヒットするかどうかは、知らん^^;。
最後の晩餐シーンは、もっとねちっこくして欲しかったが、あれ以上は無理か。
ピカレスク・ロマン(悪人譚)だが、ラストは恋愛物?。
---【 サノバビッチ・サブ 】
松梨 智子 監督 in PLANET+1
『毒婦マチルダ』と同じで、状況がコロコロ変わる「成長?物語」。
---【 連弾 】
竹中 直人 監督 in シネリーブル梅田
『無能の人』 『119』 『東京日和』に続く、4作目の竹中直人監督作品。
初の他人の企画作品と言う事で、今までの映画とは雰囲気が違う。
でも、やっぱり竹中作品。
竹中直人、『三文役者』では、本妻と妾の間を飄々と渡り歩く芸人役。
今回は、妻に浮気される旦那役。どちらも、はまっている。多芸多才だ。
ピアノ映画でもあり、鼻歌映画でもある^^;。
ラストシーン、母娘2人の止め絵が少しピンボケ気味なのが、残念。
因みに、私の一番お気に入りの鼻歌は、長女の「そんなに〜誉めるなら〜
浮気しなきゃいいじゃない〜私なら〜バレない様に遊ぶわ〜♪」です。
---【 ハード・デイズ・ナイト 】
ビートルズ 主演 in 難波松竹
子供の頃、「ビートルズ」のTVアニメを良く見た記憶があります。
ストーリーは、毎回同じで、ファンの女の子から、逃げ回りながら、
持ち歌を歌うというもの。
当時の私は、『トム&ジェリー』のようなスラップスティック(ドタバタ)
コメディー のように見ていたと思います。
この映画は、まさにその実写版。
物語のアクセントとして、メンバーのお祖父さんが登場して、
メンバーを掻き回しますが、基本的にファンの女の子から
逃げ回りながら、騒動を巻き起こし、ついでに歌も歌ってゆく
というもの。
多分、本当のファンの女の子をエキストラとして使っているのだろう。
追っかけの女の子達が本気になって追いかけ回している^^;。
こけたりしている娘もいましたが、大丈夫かな?
ラストのコンサートシーンの熱狂的なファン映像は、映画という「虚構」
だけど、「やらせ」ではないのでしょうね。
---【 ザ・セル 】
ターセム 監督 in 難波松竹
『羊達の沈黙』と『マトリクス』を超えた作品!という惹き句であったが、
期待外れ。
確かに、『マトリクス』のように、「現実」と「精神世界」とを行き来
したり、『羊達の沈黙』のように、「猟奇殺人犯」が登場したりするが、
どちらも消化不良。深みが無い。
「精神世界」の描写というのは、基本的に「なんでもあり」であり、
逆に、監督の独り善がりなイメージの展示場と化してしまう危険性と
隣り合わせである。(『マトリクス』も、その嫌いはある。)
今回も、殺人犯の内的世界の名を借りて、脈絡の無いイメージを
無秩序に並べただけのようにも感じる。又、最後に殺人犯の「良心」
らしきものを、救うような描写があるのだが、それが「現実世界」
の殺人犯にどう影響を与えたのかの描写が無い。
ストーリーの練り込み不足も強く感じる。確固とした世界観が
構築されていない。主人公の行動や、周囲の反応に、脈絡が無い。
例えば、物語では「監禁された女性の居場所」を犯人の精神世界から
聞き出すのが目的なのだが、「結局、犬の毛から犯人を特定したように、
地道に物証から突き止めた方が早かったんちゃうんか?」というオチ
である。
緊迫感の出し方も不自然で、監禁された女性が水責めにあうのだが、
監禁場所を特定した段階では、膝下位の水位。FBI捜査官が、
駆け付けた段階で、急に水位が上がって、窒息する寸前。観客としては、
どこでハラハラしたら良いのか、感情の持っていき方に困る^^;。
「猟奇殺人犯」の表現も、『羊達の沈黙』に比べて、ありきたり。
自分を宙吊りにしたり、被害者を「人形」にするのだが、その理由
付けも、乏しい。
---【 あの子を探して 】
チャン・イーモウ 監督 in 交通科学博物館
中国映画。戦後復興期の日本映画のよう。
貧乏な村の代用教員が、都会に生徒を探しに行くストーリー。
TV局の局長に掛け合って、TV番組に出て生徒に呼び掛ける。
同情の寄付金で、学校を立て直すという、ベタベタの展開^^;。
昔懐かしい臭いがする。
最新作の『初恋の来た道』も、純情ストーカー少女の話らしい^^;。
他の作品評で、色が印象的な監督との話だったが、今回の映画では
そうは思わなかった。
---【 腹腹時計 】
渡辺 文樹 監督 in クレオ大阪東
『バリゾーゴン』の監督作品。
上映開始に先立ち、渡辺監督自らの上映説明「全てが真実だとは言いませんが、
これは、福島で実際にあった話を元にしてます。全員素人ですが、天皇の問題を
描かなければという使命感で、単なるドキュメントではなく、エンタテインメント
として作りました。1時間40分。最後まで、お楽しみ下さい。」
監督自ら、フィルムを回す^^;。
内容は、『バリゾーゴン』のような無茶苦茶な物を期待していたのだが、
案外マトモ。
凄く判り易く作っていて、拍子抜け。カメラワークなども、非常にスタンダード。
ニトログリセリンを作る所だけ、リアルだった。
市電を使ったり、御召し列車の侍従、警察官に、多分地元の老人達を動員している
のは凄い。老人達が、銃を構えるアクションは笑える^^;。
ラストのオチは、鈴木邦男の「夕刻のコペルニクス」に書いていたので、
インパクトが無かった。残念。
因みに、「腹腹時計」は、学生運動華やかりし頃に出された、
爆弾の作り方が書かれた地下出版物(同人誌)。
バトル・ロワイヤルにも出てきます。
---【 風花 】
相米 慎二 監督 in テアトル梅田
エリートサラリーマン役の浅野忠信。ピンサロ女役の小泉今日子の
取り合わせの妙が命のラブストーリー。
「(東京を追われ)行き場所の無い男と女」。というキャッチフレーズ
だったが、ラスト、女は帰る場所があった。男は、放り出されたまま、
物語は終る。
浅忠は、心中しようとして出来なくて。最後は、自殺しようとする小泉を
浅忠が助ける。
陳腐といえば陳腐。
途中、眠気に勝てなくてウトウトしてしまう。この2人でなければ、
退屈でしょうがない作品だろう。
---【 サトラレ 】
本広 克行 監督 in 敷島シネポップ
「サトラレ(悟られ?)」とは、思った事が外部に漏れ出すという
架空の「精神病」の名称。
主人公がこの病気で、周囲の人は皆知っている(判ってしまう)が、
本人だけその事を知らない。という設定。
藤子・F・不二雄のSF短編に『テレパ椎』というのがあるが、
それのように、人間の内面の暗部を抉り出すような話を期待していたの
だが、主人公が裏表の無い性格で、本音と建前の両方ともが、
「良い人」なので、全然ドラマチックにならない。
はっきり言って、期待外れ。
ラストのハッピーエンドも、嘘臭い。
本人が、自分の「病気」を知った上で、その苦しみを乗り越えてこそ。
その上で、彼女との信頼関係を築けてこそ、ハッピーエンドだと思うのだが、
その辺の描写が、一切無い。
初めてのデートで、無人島に行った^^; くせに、その後の進展もなにも無く
映画は終わる。
主人公はIQが高いという設定だが、そのようにも感じない。
本筋ではないが、国民全員に緘口令を敷く事が出来る、国家というのものの
恐ろしさが描かれていない。というか、人の口に戸を立てる事は、絶対に無理
だろう。
超能力を持つ主人公が、自分の力を隠しながら活躍するという、よくある
ストーリーを裏返して、超能力者である主人公の力を、本人だけが知らない。
という初期設定は面白いだけに、脚本の練り込み不足が残念である。
---【 極楽寺燃えた 】
横田 丈実 監督 in ジャングル
自主制作映画。
監督の、ご近所のお寺に纏わるドキュメンタリー。
墓参りに来る人達や、お年寄りなどにインタビューして回るのだが、
それぞれの人の言う言葉がばらばら。
「親切な良い人やった。」
「火事で死んだ」
「東京モンで、近所との折り合いが悪かった。」
「豪快な人やった。」
「火事の後、東京に帰った」
「ちょっと、ボケとった。」
「女性っぽい人やった」
「火事の後、亡くなった」
人間の記憶の曖昧さ、人物印象の不安定さに迫っていて、なかなか面白かった。
関係無いけど、この監督さんとは、私もご近所さんだった^^;。
---【 誰が為に鐘が鳴る 】
サム・ウッド 監督 in 交通科学博物館
ヘミングウェイの同名小説の映画化。
原作は未読だが、こんな話だったのか。
最後の落ちは、突然鐘が鳴るだけ!?。
---【 キャスト アウェイ 】
ロバート・ゼメキス 監督 in 北野劇場
『フォレスト・ガンプ/一期一会』と同じ、監督ロバート・ゼメキス、
主演トム・ハンクス コンビの作品らしい。
前評判で、無人島から脱出してからが、本当の本編だと思っていたので、
少し空振りだったかな。
やっぱり、メインは無人島でのサバイバルシーン。
ほとんどセリフ無しで、映像だけでグイグイ惹き込む力量は、
流石である。
---【 桃太郎さんお供をつれて 】
監督 不明 in 第七藝術劇場
制作日不明。白黒実写映画。
実写の「桃太郎」。川からどんぶらこと流れてくる「大きな桃」
中から、生まれる「子供」(笑顔が可愛い^^;)。
必見は、本当の「犬」「猿」「雉」が、きびだんごを求めて
寄ってくる描写!
猿は、「日本一」の旗を持って歩いてるし…^^;。
「鬼」も、ドリフターズの「カミナリ様」みたいな格好で、
猿を掴んでの「やられている演技」は爆笑もの。
最後は、金銀財宝を強奪して、見事
---街宣凱旋。
めでたしめでたし…。
【 桃太郎の海鷲 】
芸術映画社 制作 後援 海軍省 in 第七藝術劇場
1942年制作の、白黒漫画映画。
手塚治虫も、戦中に見てインスパイアされたそうだ。
確かに、技術的にも相当力を入れて製作されたであろう事が
伺える。海の波の描写や、戦闘機の質感はとても戦中の作品とは思えない。
基本的に、真珠湾攻撃の成功を子供達に知らせる為の、戦意高揚の
政策映画であるが、スタッフ達が、なんとかそれ以外の叙情性を
子供達に伝えようとした努力の跡が節々に散見される。
桃太郎司令官は、偉そうに命令するだけで、結局何もしないのだが^^;、
部下の動物達(犬、猿、雉)の擬人化が可愛くて、手塚治虫にもその
影響が伺える。
戦闘とは関係の無いところで、迷子の鳥を助けるシーンなどが、
印象的。
戦闘シーンでは、敵兵(米兵)が、本当に角の生えた「鬼」として
描かれていたりして笑える^^;。敵兵の情けなさの演出も、面白い。
---【 キンタロー体育日記 】
広昌漫画映画製作所 制作 in 第七藝術劇場
1940年制作の、白黒漫画映画。
金太郎と言えば、相撲。動物達と、相撲をとる金太郎を
描いた作品。
金太郎の、個性的な顔が必見。
突然、グローブをして熊とボクシングをし出したりする^^;。
こういう「緩さ」が、現在の漫画映画に無い「味」
なんでしょうなぁ^^;。
---【 野球刑事ジャイガー 】
岸野 雄一 監督 in 第七藝術劇場
バカ映画の分類なのでしょうが…、私には面白さが理解できなかった…。
---【 BROTHER 】
北野 武 監督 in 難波松竹座
ストーリー背景や、人物配置が多少変わっただけで、
今までの北野映画と、基本的に同じ構成。
新しいポイントが全く無くて、不満。
---【 毒婦マチルダ 】
松梨 智子 監督 in PLANET+1
ベルサイユの薔薇(男装の麗人?)、スポ根物(巨人の星?)のパロディから
始まり、何故か殺し屋に弟子入り、北朝鮮に拉致される。
そこから、脱出したと思ったら何故か日本の場末の見世物小屋。
そこから、音楽業界にデビューするサクセスストーリー。
恋愛に敗れて、最後は政界にうって出る。国会議員になった所で、
撃たれる。
…、という無茶苦茶なストーリーを無茶苦茶に映像化したもの^^;。
監督は、『トキワ荘の青春』(市川準監督)に水野英子役で出演している
役者でもあり、『流れ者図鑑』(平野勝之監督)にも出演しているAV女優
でもある。後、『ラブ&ポップ』(庵野秀明監督)DVDの特典映像にも、
チョイ役で出演(?)してる^^;。
バカ映画監督を自認しているのだが、この作品は笑うポイントが少なかった
様に思う。かといって、面白いストーリーでもないし…。
今後に、期待。
---【 処刑人 】
トロイ・ダフィー 監督 in 千日前弥生座
内容は、まぁまぁ。
神の言葉「汝、愛すべし」から「汝、ぶち殺すべし!」への背徳感が、
キリスト教徒でない日本人(私)には判らないのかも。
---【 愛のコリーダ2000 】
大島渚 監督 in なんば・千日会館
映像は、スタイリッシュで、エロティック。
女の情念の表現も素晴らしい。大島渚恐るべし!。
---【 ホワイト・アウト 】
織田 裕二 主演 in 交通科学博物館
タイトルになっている、ホワイト・アウト(雪くらみ)からの
生還の描写があっさりしていて、不満足。
ダムの職員、テロリスト、警察の行動も、どんでん返しも、
観ていてあんまり感情移入出来なかった。
最後に、警察署長が主人公(織田裕二)にかける言葉も、
不自然過ぎるような気が…。
---【 アヴァロン 】
押井 守 監督 in 千日前弥生座
一応、実写作品。ポーランドロケで撮った映像素材を、大幅に
デジタル加工して、アニメを作る様に映像を組み合わせて
作られた。
ストーリーは、バーチャル(仮想現実)ゲームに熱中する
若者が、「隠れステージ」を探して命を賭けるというもの。
ゲームに、より「現実」感を感じ、現実に対する、殺伐とした
虚無感を持つ主人公。これは、現代の若者のそれと言うよりは、
押井守の好きな、「全共闘世代」「学生運動世代」のそれに
近いように感じる。
ま、押井作品はどれもそうですが^^;。
映像に対するセンスは、やはり特異なものを持っている。
もっと、一般受けをするものを撮れば、宮崎駿ぐらいには
「売れる」監督になれそうですが、なる気はないようです^^;。
犬に対するこだわりは健在。何故か、鳩も飛んでいたな^^;。
主題歌も、良かったです。
---【 昼下りの情事 】
オードリー・ヘップバーン 主演 in 交通科学博物館
花の都パリを舞台にした、お洒落なラブコメディー作品。
ジプシーの演奏がいたる所(ホテルの部屋、ボートの上、サウナの中まで!)
で行われたり、笑えるシーンが上手く随所に散りばめられていて飽きない。
ラストシーンでは、不覚にも涙腺が緩んでしまいました^^;。
お父さんの演技も良いですね。最後に美味しい所を持っていきます。
---【 ダンサー・イン・ザ・ダーク 】
ラース・フォン・トリアー 監督 in 京都松竹
デンマーク映画。ビョーク主演作品。
救われない物語。唯一の救いは、「日常生活の音」を使った
ミュージカルの「妄想」のみ。
しかし、人はその拠り所さえあれば生きていけるのだ。という
メッセージ性は強く感じる。
ドキュメンタリータッチの日常生活と、夢のようなミュージカル
シーンとの対比も見事。
発砲シーンも、ハリウッド映画のような「バキューン」と言う
勇ましい音ではなく、「ドン!」という鈍い音でリアルに表現
されていて、思わず背筋に悪寒が走った。
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