今回は、『古寺記』はお休み。米英・イラク戦争について。8ペ−ジ。
日本の「国益」から、アメリカ支持を打ち出す「保守」を批判。
「かくして「国益」の前に 正義は死に、 戦争の道義は死に、 戦争のルールが 顧みられることもなく 戦争犯罪は不問に 付されることとなった。」
小林が、「国益」よりも「道義」や「正義」を上位に考えているとは、知りませんでした。
「わしは 「反戦平和主義」ではない。」
「あくまでも 「大東亜戦争肯定」の 立場でアメリカを見る。」
先の戦争を肯定するのであれば、「国益」重視の方が都合が良いように思えるのですが。自分達を正当化する「大義」や「正義」は、今回のアメリカにも一応ありますし。
アメリカ・ブッシュ政権は、ネオ・コンサバティブ(ネオコン)であり、中東を武力で「民主化」しようとしていると説く。
「イラク攻撃は これから延々と続く アメリカの中東介入と アラブのテロ誘発の 第一幕にすぎない!」
初期のブッシュの青写真では、仮にそうであったとしても、今回の戦争で懲りて多分方針転換する事になるでしょう。国連決議が得られなかった事も含めて、かなり誤算や読み違いが明らかになってきましたし。
もちろん、今回の事態で国際社会のパワーバランスが崩れて、もっと思わぬ方向に世界が動く可能性も高いです。
「最近では、アメリカに 3000万人もいるという キリスト教原理主義者が、 ハルマゲドンを待望して、 強烈にイスラエル支持になり ブッシュ政権のネオコン派と 結びついているらしい。」
陰謀史観?。
「はっきり言ってやろう。」
「今のアメリカは カルト集団に 政権を のっとられた ようなものだ!」
日本国(小泉首相)のアメリカ支持による、テロのリスクについて。
「炭疽菌を1万l 日本上空で噴霧したら 日本人は絶滅するだろう。」
炭疽菌1万lって、相当な量だと思いますが…^^;。日本全国に満遍なく噴霧する必要がありますし。
それを言うと、核兵器だけで人類を何十回も絶滅させられるだけの量(計算上)がありますね。
テロを防ぐ為には、
・ 反抗的な相手を徹底的に叩いて、反抗する気力を無くさせる。 → 余計に恨みを買い、更なるテロの温床となる。
・ 誰とも友好的な関係を保つ。 → 八方美人となり、主体性が失われる。
どっちにしても、悩ましい…。
しかも、テロの頻発は疑心暗鬼となり、今回のイラク攻撃のように、「疑わしい奴は、取り敢えず先制攻撃で潰す。」という非常に乱暴な結果になる。ひどい時代になってしまったものだ…。
「20世紀は戦争の世紀」だったが、「21世紀は『新しい戦争』の世紀」になりそうな予感。進歩してない…。
アメリカの「北朝鮮攻撃」のシナリオでは、日本と韓国は「生贄」になってしまうと説く。
「ならば日本は どうすべきか?」
「そんなことは、もし日米同盟が なかったとしても、まさか日本人が 絶望して、ただ滅びるのを待つだけに なるわけないのだから、 打つ手は考えつくはずだろう。」
「ポチ保守」の発言は現時点での「最善の手」を提示しているとするならば、小林は、将来の方向性を示していると言える。実は、両者の主張はそれほど違わないのではないか?
「わしが考えついても 公表するはずがない。 敵に読まれたら意味がなくなるからだ。」
政策に関わっている訳でも無い小林が、そこまで出し惜しみする理由は俄かには考えつかないが、よっぽどの秘策があるのか。あるいは、ブラフなのか…。
自前の戦略を思いつかなくなっている「左翼」も「右翼」も、「平和ボケ」だと断罪。
今回のゴーマン
「わしは リスクを考えもせずに、 冒険に出る者たちを 「保守」とは思わない。」
「それはやっぱり 「ポチ・保守」である。」
今回も、米英VSイラク戦争について。8ペ−ジ。
「そもそもアメリカは 「国際法」を無視して 戦争を始めたのだから!」
ところで、アメリカとイギリスは、イラクに「宣戦布告」を行なっているのだろうか?。
いきなり「空爆」のニュースが入ってきて、「宣戦布告」したと言う報道は無かったように思うのだが…。
で、バクダッド制圧により、フセインの銅像などが倒されて、人々は「圧制からの解放」を叫んでいるようですが。
子供達にとって、
戦前は、フセインは国の英雄だと教えられたのに、負けたとたんに「独裁者だった」と大人達は言い出す。
カルチャーショックでしょうな。
第二次世界大戦直後の日本も似たような状況だったんだろうな…。
焼け野原のバクダッドを見ていると、余計にそう思う。
しかし、日本と違って「アメリカの民主主義」をイラク国民が受け入れるとは思えないけどね。
複雑な民族対立。石油利権も絡んでくるし。日本との比較でも、仏教・神道とイスラム教とでは、全然違うしね。
「終戦」したとしても、ゲリラや自爆テロなどは収まらないだろうし。第2のパレスチナになる?
アメリカ軍の駐留が長引くと、更に反米感情が高まる危険性が高い。
「北朝鮮なんかとは 比較にならない近代国家である イラクは、親日的でもあった。」
「台湾が蒋介石の 独裁政権から、 蒋経国を経て、 ついに李登輝で 民主化を達成したように、 イラクも自力で変化してゆける 可能性があったのではないか?」
この視点は、新鮮。
自力で民主化出来るならば、それに越した事は無い。
ただ、これは可能性の一つでしかなく、「歴史に「もし」は無い」訳ですしね。
また、例え民主化しなくても「内政不干渉の原則」というものがありますからね。実際、中東のほとんどの国は「王制」や「独裁政治」らしいし。
イスラエルは核保有しても擁護し、「自分達(アメリカ)に反抗的だから」という理由だけで、イラクに対しては、一般市民を巻き込む戦争に訴えても徹底的に叩き潰す。
確かに、倫理が欠如してきている…。
小泉首相の「アメリカ支持」声明に対する不満。
「本当なら、北朝鮮とは、 日本が自力で戦わなければ いけないんだぞ!」
「アメリカに 助けてもらうことを 期待しちゃダメだ!」
「まず「自主防衛」だ! それから「集団的自衛権」だ! 逆になっちゃいけない!!」
前回も指摘した事だが、小林が言う「ポチ保守」の立場は、現時点での日米関係からより善い手(bestではないが、better)としての「アメリカ支持」。小林は、その先を見越した上で「アメリカからの脱却」を説いている訳で、目指す地点はそれ程違っているようには思えない。
小林の方が、より空想的とも言える。
私(大久保)はと言えば、「空想的平和主義者」ですが^^;。
「あまりに道義に反した 戦争を支持することが 大きく国益を損ねることを 考えておくべきだった。」
今回のゴーマン
今回は、イラク戦争終結について。8ペ−ジ。
…しかし、アメリカによる「宣戦布告」も、イラクの「敗北宣言」も無い今回の戦争。これって、「戦争」だったのだろうか?。
しかも、アメリカの目的だった「フセイン殺害」も「大量破壊兵器の発見」も未だに為されていない。
9月11日アメリカ同時多発テロの首謀者と見なされている、ビンラディンも捕まっていないし、アフガニスタン、イラクの「民主化」も先行きは不透明。
それなのに、アメリカは、次の標的としてシリアや北朝鮮を視野に入れて次の行動を起こしている。
21世紀初頭。世界は、どこに向かってゆくのか…。
「勝ちさえすれば 戦争の正当性と 道義性が証明されると 思い込んでるやつがいる。」
これを、「勝ち馬に乗る馬鹿」と非難。
アメリカの元々の攻撃理由は、「独裁政権転覆」ではなく、「大量破壊兵器がテロ組織に渡る恐れがあるから」であり、化学兵器が見つからなければ攻撃の正当性は証明されない。例え持っていたとしても、今回の戦争で使用しなかったのであれば、「査察」で解決できたのではないのか?
「それとも(中略) イラクの地のどこかに 大量破壊兵器を 準備していて、 そのうち 「見つかった!」と、 自作自演 するのだろうか?」
あからさまな情報操作。反米的なマスコミに対する威嚇攻撃などの前例を見ると、やりかねない気もする。しかも、我々には真実かどうかを検証する術が無い。
フセイン銅像の破壊は、米軍による「やらせ」であると主張。
イラク国民が「フセイン万歳」から「アメリカ万歳」になったのは、生き延びる為の知恵であると喝破。
「こういう、支配者に 媚びを売る連中が 50数年前にも 日本にいたのだ。」
戦中は、「天皇陛下は神である。」と教え込んでいたのに、敗戦を期に「これからは、民主主義だ!」と言い出す教師に、当時の小国民はコペルニクス的な転回を感じていたようですが、結局、大多数の日本人は「寄らば大樹の陰」。
戦争中は「天皇陛下万歳」。戦後は「マッカーサー元帥万歳」。現在の、イラク国民とほぼ変わらない処世術という事ですね。
違いと言えば、日本人は無政府状態になって略奪などの行為をしなかった。民族や宗教の対立による内乱状態にはならなかった点。
今回のゴーマン
今回は、イデオロギーと人格について。8ペ−ジ。
「朝まで生テレビ」に出て、ぶち切れた話。
ポピュリズム=民衆主義。
ハト派(平和主義者)である古賀誠と、意気投合した話。
『わしズム』編集長の名刺の画像。
何故か、全部アルファベット表記。しかも、人名を欧風に「名−姓」の順序に表記している…。
名刺を配る相手は、日本人がメインのはずなのに。
安心感を与える政治家=古賀誠との対談が、好評だった話。
「わしは最近、 人物の重要さに 気づいてしまった。」
「イデオロギー よりも 人格の方が 信用できると 思うようになった。」
「これはわしの 大きな変化だから 読者の方々も 考えてみてほしい。」
遠藤誠弁護士の言葉を思い出します。( 第93章 ・ 『古寺記』其の二 )
戦争反対を唱えるTAKURO(GLAY)に、脅迫があった件に関して、
「右寄りのやつらから 講義や脅迫まがいの メールが殺到。」
(中略)
「いいんだよ。 そんなやつら 気にするなって。」
「居丈高に 知ったかぶりしたい だけなんでしょ。」
「保守オタクの やつらって、 産経新聞や 『正論』読んで 病的に居丈高に なってるやつ多いから。」
(中略)
「TAKUROが 自分の思うように やればいいよ。」
昔、「天皇に戦争責任はあると思う。」 と、自分の意見を表明した 本島等長崎市長(当時)に対し、銃弾を撃ちこむという事件が起こった事がある。
この時の衝撃を、今でも覚えている。
「思想に対し、暴力で黙らせようとする人間がいる。」という事を初めて知り、衝撃を受けた事を覚えている。
そして、幸い命を取り留めた本島市長が、「それでも自説は曲げない」と言い切った、暴力に屈しない態度にも、衝撃を受けた。
全国から、「死ね」「非国民」という非難や、剃刀入りの手紙。嫌がらせの電話があり。同様に、全国から励ましや支援の手紙が送られて来た。そういう世間のムーブメントにも、興奮したのを覚えている。
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金沢に講演に来ていた、本島元長崎市長について。
「右翼に狙われた、」
「「原爆は日本人が悪いから」
「落とされた」と」
「超自虐史観を言うやつだ」
(「わしズム」Vol.4(2002.12.3発行)『ゴーマニズム宣言 EXTRA』より)
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この記述を読んで、私(大久保)は、「今でも活動を続けておられるんだなぁ」と思い。感慨深かったです。
「もうイデオロギーで 人を判断する 状況ではない。」
「『わしズム』6号で しりあがり寿氏も 反戦デモに行ったと 告白してるが、 OKである。」
「その、世間体を 気にしない 実直・自然体の 人格を信用する。」
ただ、好き嫌いだけの「贔屓の引き倒し」だと意味無いけどね^^;。
保守系新聞(産経新聞、読売新聞)批判。及び、左翼系新聞(朝日新聞、毎日新聞)批判。
「馬鹿馬鹿しい! わしはもう、こういう ゴチゴチした 思考パターンに飽きた!」
「「思想」は 必要だが、」
「「イデオロギー」は 嫌いである!」
「思想」と「イデオロギー」の違いは?
【思想】 1.(〜する)心に思い浮かべること。また、その考え。 2.哲学で、感覚経験に対して思考作用を働きかけ、また、想像力を加味して生じた意識内容。また、統一された判断体系。 3.社会、人生などに対する一定の見解。特に、政治的な一定の考え。「あの人には思想がある」「危険な思想」「思想を弾圧する」 【イデオロギー】(独 Ideologie) 1.人間の行動の基本となる、根本的なものの考え。観念形態。 2.政治、社会に関する基本的な考え。思想傾向。 − 国語大辞典(新装版)小学館 1988 より −「思想」の出発点が「好き・嫌い」なのは、私も必要だと思っています。ただ、先程も言った通り、自説を通す為に「贔屓の引き倒し」になってしまっては、意味がない。なかなか難しい事なのですが…。
今回も、「ポチ保守」批判。8ペ−ジ。
引き続き、アメリカ追従で媚びを売る、「保守」批判。
岡崎久彦、中西輝政の対談に対して反論。
「フセイン政権が 独裁だから「悪」 という発想 そのものが、幼稚だとわしはおもうが …」
「「自由」と「民主」という 標語のみを 絶対の正義と 信じている姿は、 かつての「所沢高校」の 生徒を髣髴とさせる。」
「それは 「リベラル・デモクラシー主義者」 つまり、サヨクである!」
----- リベラル〔形動〕(英liberal) 1.政治的に穏健な革新をめざす立場をとるさま。自由主義的であるさま。「リベラルな思想の持ち主」 2.社会の規律や習慣、権威などにとらわれないさま。自由であるさま。「リベラルな生き方」 デモクラシー(英democracy) 1.民主政体。民主主義。民主的な原理、理想、実践。 2.日常生活での人間関係における自由や平等。 左翼 1.鳥、飛行機などの、左の翼。 2.左方の軍陣。左方の部隊。「左翼隊」 3.(一七九二年フランス国民議会で、議長席から見て、左に急進派であるジャコバン党が議席を占めたところから) 一般に、急進的、革新的傾向をもつ立場、あるいはその人物や団体をいう。 左党。左派。⇔右翼。「左翼政党」 4.さよくしゅ(左翼手) 保守 1.(―する)正常な状態などを保ち、それが損じないようにすること。「鉄路の保守」 2.旧来の習慣、制度、組織、方法などを重んじ、それを保存しようとすること。⇔革新。「保守政党」 「国語大辞典(新装版)」小学館 1988. -----「穏健な改革を目指す」・「民主主義者」が、「革新派」である。という主張。
携帯電話を持たない「自由」だってある。
----- リベラリスト(英liberalist) 自由主義を信奉する人。自由主義者。「オールドリベラリスト」 「国語大辞典(新装版)」小学館 1988. -----