ゴーマニズム宣言の感想

(第150章〜第154章)

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mark 『第150章 国家の責任逃れとしての構造改革』
(「SAPIO」 10月10日号)

今回は、小泉首相が進める「構造改革」批判。8ペ−ジ。

私も、小泉首相はそれほど好きではありませんでした。
しかし、今回の
アメリカ・同時テロ事件で、少なくとも責任逃れせずに素早く自分の立場を表明し、リーダーシップを発揮したのには、今までの歴代首相と比べて少し見直しました^^;。(森元首相だと、ずっとゴルフやっていそう…。)
でも、その日本の対応自体には批判的ですが。

閑話休題。
まず、よしりん企画の内情に絡めて、構造改革の「キーワード」解説。

公共事業」・ 「IT革命」・ 「職人芸」・ 「構造改革」・ 「米百俵の精神」・ 「リストラ」・ 「抵抗勢力」…

わしは いじわるで 「抵抗勢力」に なっているんじゃない
仕事をする「活力」は ダイエットなどという 「構造改革」からは 生まれないからだ
これが、小林が「構造改革」に反対する理由の基礎ですね。

「革命」やら 「改革」やらの言葉に 日本人はすぐだまされる
…そ、そうなのかな?^^;。

わしは 小泉純一郎の 構造改革の 「抵抗勢力」だ!
うおっほん!

そして、構造改革とは「国家」の責任を放棄し、すべての解決策を「民間の活力」に押し付ける「責任転嫁」と解説。

かくして株価は 果てしなく下落し… 景気はどんどん悪くなって なんと不良債権は 減るどころか 増えていく 企業の首切り(リストラ)は ちゅうちょなく行なわれ 失業率は5%というが 実質は10%

まるで特攻か… いや 玉砕戦だ!
破局に向かって 突き進んでいるのに 「抵抗勢力」(=売国奴) というレッテルを恐れて だれも小泉を 止めようとしない 責任をとるつもりが あるのだろうか?
珍しく、「特攻」「玉砕」を否定的な意味で使っています。

切迫感のない しらけきった この不況模様…
虚無しかない 何の「活力」もない これが「民」の実態だ
だれも 自分の国の 未来を信じて いないのである
えらい、言われようです^^;。

政治家が どうしたのだ!
日本の 未来のビジョンを 描かぬからだ!
確かに、「政治家」に限らず、人が生きていくのに未来のビジョンは必要ですね。そして、今ほど「未来のビジョン」が描き難い時代は無いのかもしれません。

民間の「活力」は 国の未来に 信頼を持たぬ限り 生まれない!
しかし 今の政府は 「もう 国を信用するな」と言う 「民間を信用しろ」と言う
「国家観」を喪失した 政治家と その周囲の ブレーンたち…
ここで、いきなり「民間の活力」=「国家」と持ってくるのには、無理があるような気がする。
まぁ、バブルの時と違い、不況時には政府が経済に干渉する必要はあるでしょうが。不況になると「強い国家観」を希求する気分が高まるのかなぁ。

今回のゴーマン
はっきり言ってやる! 小泉はダメだ! もちろん 菅や鳩山は もっとダメだ!
日本の何を守るべきかが わからぬ政治家はダメだ!

ごーまんかましてよかですか?
政治家が 国の未来を描き そのための 「公共投資」を するしかない!
もちろん 国債発行して 堂々と「公共投資」 するしか 民間の 活力を生む道はない!
擁護する訳ではないですが、小泉首相も「メリハリのある予算」と言う事で、必要な投資は、否定していないと思います。



mark 『第151章 アメリカ帝国主義VS.イスラム原理主義』
(「SAPIO」 10月24日号)

今回は、アメリカでの「テロ」と、小泉内閣の「構造改革」について。8ペ−ジ。

「文明社会VS.テロリズム」 それが アメリカが 作り出した図式だ 今回のテロは 文明社会・民主主義社会 そのものへの挑戦だそうだ
…ということは イスラム原理主義は 「文明」ではないのか?
オウム真理教と同じ 全くのカルト宗教であり 全くのテロ集団か?
それは 違うと思う
イスラム 原理主義もまた 世界の中の 一つの「文明」である
この考え方を受け入れられるかどうかで、この後の論を受け入れられるかどうかが決まるでしょうね。
確かに、オウム真理教の事件以降、自分に都合の悪い考え方は全て「狂信的カルト」「宗教の信者」という一括りで否定するやり方が横行しましたが、それは全く正しくないでしょうね。

ただ、小林もアフガニスタンのタリバンという国家(ほとんどの国は、「承認」していないが)と、「イスラム原理主義」武装集団の一員であるオサマ・ビンラディンと、一般のイスラム教徒とをごっちゃにしているようにも思えますが…。(そういう私自身も、最近の新聞報道レベルの内容しか知らない^^;。)

女性は、教育も受けられず、顔も出せない、極端に禁欲的な「イスラム原理主義」。
銃社会。児童虐待。麻薬、ホモ、拝金主義などの、極端に「自由主義」なアメリカ。
どちらも、「文明」であるという小林の主張。

最近CNNや 日本のマスコミを 見てると タリバン政権の 負の部分を 強調し始めた
戦争するために 敵を悪に仕立てる プロパガンダだ イラクの時も アメリカは これを やっていた
自分を「悪」と規定して戦争する国なんて、存在しない。基本的に、戦争は「正義」と「正義」の戦い。情報戦では、アメリカが優位なのは確かですね。日米の戦争の時も、情報戦では負けていたのでしょう。小林が、アメリカに噛み付くのは、その時の恨みもこもっているような感じがあります。

つまり アメリカの 取るべき作戦は 「同時多発エロ」だ!
似たような話題がありました。面白い内容ですので、無断転載。
> Q.テロとエロの類似点を3つ以上あげよ。
> A.1.エロもテロも反体制(的)である。
>   2.エロもテロも地下にもぐりやすい。
>   3.エロもテロも目的の最終到達点の設定が分かり難い。
> あと、エロもテロも穴が好き。とか思いつくが、ちと無理があるか(笑)

わしもかつて オウム真理教の テロの標的にされたが 話し合いをしている時に すでに暗殺しに来ていた オウムの時ですら コミュニケーションの 「断絶」を感じたのだ!
イスラム原理主義は もっとすごい
最初に、「オウム真理教」と「イスラム原理主義」は違う。というような事を言っていたのに、ここでは同列に扱っている^^;。

こうなると、「オウム真理教」は「文明」ではないのか?とか、「イスラム教国家」と「イスラム原理主義国家」との違いは?とか、「国家」と「テロリスト」との関係は?とか、色々ややこし問題が出てきますね。…難しすぎるので、ここでは考えない。

「文明の衝突」は ある!

わしは アメリカが サウジ(アラビア)から出て行って パレスチナ問題を 全世界で解決しないと テロはなくならないと 思っている
欧米が、ユダヤ資本と石油利権目当て(と、欧米的民主化の為)にパレスチナ問題に介入した時点で、既に腐れ縁が出来ていて、今更撤退したぐらいでは問題は解決しないでしょうね。実際のところ、皆が納得する解決は不可能なのかもしれません。

しかし わしは 小泉内閣の 「構造改革」の 怪しさを描き 続けたかったのだ!

驚いたのは 事件の ほんの数日後には もう 各航空会社が 大量のリストラを決定している
完全に経営者有利の この恐るべき弱肉強食の 「資本主義」社会
「年功序列」もない 基本的には 20代 30代の 若い働き手しかいらない
それが 日本が今 進めている 「構造改革」後の 社会の姿だ!

ハングリー精神を生み出す根源は ハングリーになることである
このような言説は 日本人に 「アングロサクソンになれ」と言っているに等しい
「日本人でなくなれ」 と言っているのだ
このコマの小林は、かっこいいですね。

日本には朝日・毎日のような 「中国のスパイ」もいるが
「構造改革は断固やるべし」と言う 産経・読売のような 「アメリカのスパイ」もいるのである
以前から批判していた、朝日新聞に続いて、好意的に評価していた産経新聞、読売新聞も槍玉に挙げだしました。『戦争論2』への布石か?。

前回も言ったことだが もう一度 原則を述べる
単なる 競争主義 拝金主義からは 民間の「活力」は 生まれない!

政府は こういう まじめに働いている 中小・零細をつぶせと言う
そして一部の 大企業だけが 勝者となり 中流階級が 陥没して 死屍累々の 敗者が 出現し 社会が不安定に なっていく…
こう考えると、大企業批判なんか共産党の主張とも、近しいものがありますね。

今回のゴーマン
小泉純一郎というのは アメリカにとってみれば 「カモがネギしょって やって来た」みたいな 男なのだ

ごーまんかましてよかですか?
そのアメリカの外資に 突っ込んだのが イスラム原理主義 だったのである!
さあ 日本の 勇ましい保守のつもりの 諸君! どう思う!?
「保守のつもりの諸君」=「産経新聞・読売新聞の論調」でしょうね。これからの敵は、この辺りのようです。

(おまけ)
欄外情報。
・ 「この号の発売の頃、『戦争論2』の全ページが脱稿しているはずだ。発売は11月中旬になりそう。右も左も大打撃をくらうだろう。
11月中旬…もうすぐ発売ですね。楽しみ!。
「右も左も」と言う事で、今回は「右」=「保守側」に対しても相当の批判をしているのでしょうか。これも、楽しみですね!。

しかし、『戦争論1』の頃には、こんなに簡単に戦争が始まるとは思ってもみなかった…。

・ 何故か、前回と今回は「応援レター」無し。



mark 『第152章 『戦争論2』の空爆前夜』
(「SAPIO」 11月14日号)

今回は、『戦争論2』とテロについて。8ペ−ジ。

まず、『戦争論2』脱稿と、発売日が10月31日(水)になった報告。その苦労談。

しかし このページ数でも 実は積み残しの原稿があり この中には 傑作があるのだ
恐るべき わしの創作意欲!
普通は、どんなに時間を掛けて描いても、読むのは一瞬なんですが。確かに、読む方が追いつけない程の旺盛な創作意欲。こんな「感想文」ですら、間に合わん^^;。脱帽です。

最近 この連載の中で わしが 小泉首相の「構造改革」を批判しても 同時多発テロについて描いても 読者から非難轟々だ たとえば こんな調子で…

わはははは… まるでわしが 慰安婦問題を 描き始めた頃の ようなヒステリックな 反応が続出だ
がはははははは
悪役を演じています^^;。

小林は自分の代弁者だと、一方的に片想いしていた人に限って、可愛さ余って憎さ百倍。「信じていたのに、裏切られた!」となり易い様に思えます。

「裏切られるかもしれない」と思った上で、「それでも、信じる!」と考えていたのなら、「裏切られたのは、自分の人を見る目が無かったからだ。」と納得出来るはず。

自分と他者は、考え方も生活環境も違う「他人」だという当たり前の事を、前提として考えられない人が増えているのかもしれません。

インターネットでも 批判的らしい
ばかやろーが! 二度とわしの 漫画を見るな!
やだ。

こんなに面白い漫画。読まずにおれない。

右や左も ばかやろーだらけ だから 今度の 『戦争論2』で 両側から攻めて くるがいい!
ほとんど、やけくそのようにな発言です。多分、『戦争論2』の内容がそれぐらい徹底的に、保守派も急進派もこき下ろしているという事でしょう。

まともな知性のあるやつが 『戦争論2』で わかってくれればいい

そして、民族独立運動も「反テロ」の名の元に弾圧されてしまうのではないかと危機感を表明。
テロの語源はラテン語の 「テロール(恐怖)」である
フランス革命(1789)とは、民衆の暴力によって「王制」から「民主主義」を手に入れ、「テロリズム(恐怖政治)」によって統治したと説く。

民主主義という 文明こそが テロリズムから 発生しているので ある!
確かに、「
テロリズム」の意味には、国家が暴力によって民衆を従わせようとする「恐怖政治」の意味がありますね。

ここでは、「よいテロ」「悪いテロ」(?)の判断基準は、示されていません。

善悪や道徳的判断から 言えば わしは ビンラディンの方に 共感を覚える

原爆こそは 史上最大の テロリズムである! ホロコースト である! この怨みを DNAとして持っていない 者は 日本人ではない!
「この怨みをDNAとして持っていない者は日本人ではない!」って、凄い言い切り方だ…。
「この悲しみをDNAに刻みつける」という「日本人」が居ても良いでしょう。

怨まないと、いけませんか?

政治家も 知識人も マスコミも 右も左も 『新ゴー宣』の読者で わしをなめて生意気に 批判してるバカどもも いいかげんにさらせ!
珍しく、批判に対して苛立ちを隠せないでいます。本当に、珍しい。

今回のゴーマン

ごーまんかましてよかですか?
『戦争論2』で 空爆だ!
日本人の 魂を 覚醒させて やる!!
果たして、テロ(空爆)によって「人心」は動く(覚醒する)のだろうか…!?。

(おまけ)
・「応援レター」は、復活しました。

欄外情報。
・「この戦争で、忘れられとるが、教科書問題の報復は、かならずするからな。『戦争論2』とは別に、確実に効果のある方法でやるからな。
こちらも、泥沼の報復合戦か!?。楽しみ!。



mark 『第153章 我々は自覚なき「戦中派」である』
(「SAPIO」 11月28日号)

今回は、そのものズバリ「戦争」について。8ペ−ジ。

まず、『戦争論2』が売れているという宣伝。

売国政治家どもを ふるえあがらせるためには 選挙の一票よりも この本が100万部 売れることの方が 効果あろう
自信満々です。


(本文、まだです。)


今回のゴーマン
ごーまんかましてよかですか?
このでたらめさは すべてテロリズムを 「犯罪」と勘違いして 「テロリズムは悪」だとか 「テロを許してはならない」とか 「文明VS暴力」とか 無意味な感情論を 日本人に植えつけた 結果である!
我々は 何の覚悟もなく 「戦争」に突入した のである!
ワンセンテンスが、長い…^^;。



mark 『第154章 ふまじめな日本のテロ戦争』
(「SAPIO」 12月19日号)

今回も、日本の「参戦」について。8ペ−ジ。短く感じる。


(本文、まだです。)


今回のゴーマン
ごーまんかましてよかですか?
政府もマスコミも 国民も 「戦時中」を 意識もせず 安穏と テロの急襲を 待っているのみ
本当に 真剣さの欠けた 国だ 日本は!
そういう「のほほん」とした所が、日本人の特質なのかもしれませんね。

もちろん、そういう「弱い習性」を持つ生物は、「適者生存」の進化論的に言うと「淘汰」される運命なのかもしれませんが…。しかし、生き残る為に無理に「強くなる」と、それは既に護るべき本来の「日本人」では無くなってしまうのかもしれない。

その辺が、難しい所ですね。

実際は、小林のように、「泥(汚名)を被る」覚悟を持った、一部の人間が非難覚悟で「命を賭けて戦う」という事になるのかな。

そう考えると、
三島由紀夫の理屈もなんとなく理解できるような気がしてくる…。

(おまけ)
・ 『ど忘れ 日本政治』(業田良家)、最終回。残念。

欄外情報。
・ 『おぼっちゃまくん』(小林よしのり)、幻冬舎文庫にて復刊。

・ 『カメダス2』にて、『こちら葛飾区亀有公園前 派出所』(秋本治)と『東大一直線』(小林よしのり)との合作。秋本と小林は、『少年ジャンプ』デビューがほぼ同時期で、両さんと東大通は、既に一度共演してますね。


(備忘)
・ 『戦争論2』「第7章 「世論」を作るテレビ・新聞の善良主義の正体」より。
「世論」は テレビと新聞が 「庶民」を洗脳して 「大衆」に作り変える ことによって 作られるのである

「庶民」の「常識的感覚」として、小林に都合の良い考えが「実は多数派」と言い切っている。(注:「庶民」「大衆」「市民」の使い分け方)。実際の「日本人」の感覚だと、例えば教科書問題にしても。

余計なお世話だ なにを人様の国の 教科書のことにまで 余計な口出し してやがるんでえ
と考える人。余計なお世話と考えない人。興味の無い人。色々いるはずである。それを、無理矢理一元化している。

・ 私は、祖父が生きていた頃、毎朝毎晩仏壇に「おはよう」「おやすみ」の報告の為に手を合わせる事を強要されていた。「何で、こんな事をせなあかんのや」と内心思っていた。そして、祖父が亡くなってから暫くすると、毎日仏壇に手を合わせる事をしなくなった。薄情なものである。

この話を、「ひどい!」「人でなし!」「非国民!」と思う人もいるでしょう。でも、「私もそうだ」という人も、いると思う。

結局そういう事。「祖先を大切にしている」「片時も忘れた事が無い」という人もいれば、「死んだ親父の事は、ほとんど思い出した事が無い」という人もいるでしょう。

・ 「女性天皇論」について。
2001年12月1日。皇太子夫婦に女児(新宮様)誕生。慶賀。それに伴って、女性天皇論(女性にも皇位継承権を与える)が浮上してきているようだ。

その理由として「天皇制度維持のため」「国民の間に、男女同権意識が定着しつつあるから」などが上げられている。

前者はともかく、後者は理解に苦しむ。もともと、皇室に人権は無い。思い付くだけでも、
・ 皇族には、戸籍が無い。つまり、日本国民ではない(「日本国民」の象徴だから)。
・ 天皇に、職業選択の自由は無い。
・ 結婚しない自由が無い。(男にせよ女にせよ「世継ぎ」が必要と言う事は、必ず結婚しなくてはいけない。)
・ 当然、行動の自由は無い。


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