今回から、第62章の漫画内で小林が
告知した通り、4回連続で2本立てのようである。
しかし、SAPIOの表紙にはおろか、目次にも漫画の煽り文句にもどこにもその
ような事が書いていない。編集部としての告知が全く無いのが不思議である。
なにか理由でもあるのだろうか?
さて、今回は金融改革(ビッグバン)について。かなり独自の解釈ですが、こういう見方も出来るということでなかなか面白い。
まず、規制緩和により銀行やタクシーの態度が良くなった。激しい競争に晒される事によりサービスが良くなり、プロとして自覚も出てくるのだ!…と、持論を展開。
「銀行は給料を半分にしろ!大蔵省はタイホしろ!規制緩和ばんざい、ビッグバンいらっしゃーい」
「…とマスコミと共に言ってしまいそうだがわしは一度踏み止まって警戒する事にした」
「どーも「ビッグバン」というのが実感こない。わしの生活には必要性を感じない」
これは理屈ではないでしょう、小林の直感。突然出てきた「ビッグバン」と言う新しい言葉に胡散臭さを嗅ぎ付けた。小林の真骨頂ですね。
ここから突然東京裁判の話になる。GHQの占領政策により軍部と国民が切り離され、自分達は犠牲者だと思い込んでいる国民に疑問を表明する。
「わしは東条英機ら軍上層部に敗戦責任はあると思うが」
「戦争責任」ではなく「敗戦責任」である点がポイント。
「…にしても戦争をおっ始めた国民が一切責任を持たなくてよかったのかと言えば怪しいし…」
この文章も、かなり読み取りにくい文章ですが…、小林が守ろうとしているじっちゃん達にも責任はある。と言う事でしょうね。どういう種類の「責任」なのかは、よく読み取れませんでしたが^^;。
「アメリカに裁かれて意のままに洗脳された国民は大いに問題ありだと思う」
確かに、この頃の日本とアメリカとでは、武力もそうですが、この手の情報操作(洗脳)力も圧倒的にアメリカの方が上でしたでしょうね。赤子の手を捻るよりも簡単だったのでしょう。それが、未だに尾を引いている部分もあるでしょう。
そして、今回のビッグバンも外圧による洗脳ではないのか?と疑問を投げかける。
「…要するに銀行に預けっぱなしにしておかずにその金でもっとばくちしろってことなんだ」
「「これからはばくちに金つぎこむのがナウイぜ!」ってのがビッグバンの言いたいことだ」
言い得て妙である^^;。でも、日本人は貯金好きの国民なので多分それ程マネーゲームは流行らないと思う。まぁ、金も無いのに商品だけ先に手に入れるローンも昔は抵抗が強くあったのに今はそれ程無いように、マネーゲームにアレルギーを持たない新しい世代が出てくる可能性はありますが…。
「わしは「競争原理」は否定しない。しかし「ばくち」はイヤだ」
わしも、ギャンブルはしません。宝くじも買わないし、ローンも今の所したこと無い。
でも、もし家を買うことがあれば即金では無理だろうしなぁー;_;。
今回のゴーマン
2本立て二週目の1本目。
前回は、全然触れられていなかったけど、今回は、表紙に「特別版」、目次に「16ページぶち抜き第2弾!」と書かれている。でも、なんか扱いが小さいよーな気がする…。
さて、今回は、子供の「人権」を守るよりも犬の「犬権」を守る方が大事じゃないか?
というお話。
もちろん、本気でそう思ってる訳ではないが、必要以上に「人権」を庇おうとする今の風潮を戯画化するために「犬権」などを持ち出したのだろう。
大体、盲導犬は人間の「道具」であって、「犬権」は蹂躪されているでしょう。仮に、飼い主と盲導犬との間に「信頼関係」とやら(人間の思い込みの様な気もするが)があったとしても、それをそのまま「盲導犬」→「子供」に当て嵌めるのは無理がある気がする。
まず、自分の事を「貫禄が服着て歩いてるようなもの」と言う小林。
「服を脱いだらかんろくがかんななかんぱちとパワーアップしそうでこわくてこわくて…」
今回の話の重要な伏線になっているようなのだが、「かんななかんぱち」とは何の事か私には分からなかった…、誰か教えて下さい^^;。
「今日銭湯にすごいナマイキなガキがいましたよ」
最近の「ガキ」は、生意気で躾がなってないという事を、アシスタント達の乏しい経験から実例を示していく。
こういう実例を挙げるやり方は、「いるいる」という共感を得られやすいし、等身大の「身の丈に合った怒り」を描けるので、『ゴーマニズム宣言』らしいアプローチの仕方である。しかし、そこから話を一般化する際に、大きく結論が歪む可能性を秘めている。今回に限らず、この点は注意して見ていきたい。
躾のなっていないガキよりも、盲導犬の方が立派だと言う話の後、
「もう子供のことなんかどうでもいい!」
と突き放す小林。
2本立て二週目の2本目。
今回は、情報戦の重要さについて。
「銃火を交える戦闘だけが「戦争」ではない」
「「情報戦」「宣伝戦」という戦争もある」
おっしゃる通りですね。しかも、日本人はこういう事に慣れていない。どちらかといえば、自分の正当性をはっきり主張するよりも、なぁなぁで済ましたがる。結果的に、クソを掴まされる。…こういう呑気な所も、日本人らしい所ですけどね^^;。
で、『ゴーマニズム宣言』は、今まで情報戦に勝ってきた。少なくとも、自分の意見をはっきり主張してきた。凄い事だと素直に思います。
で、小林の「自己の正当性の主張」。かなり勉強してます。コマが真っ黒になる位書き込まれた文字文字文字。この情報の真偽はここでは置いておきます^^;。
「銃火を交える戦闘だけが「戦争」ではない」
「今日本は「情報戦」「宣伝戦」という戦争を仕掛けられ敗退する一方であり戦果として賠償金を要求され国威は減衰 国の名誉も地に堕ちんばかりだ」
「どこの国でも宣伝戦の重要性を認識し戦略を練っているのに」
「日本は伝統的にそれができない」
それは、果たして美点なのかどうか。私は、こういう間抜けな所が日本人の良い所だと思っとりますが^^;。でも、あんまり付け込まれるようだと、いつまでも笑ってられなくなるかもしれません。もう少し、あざとさも身に付けるべきなのかもしれん。
「そして今では戦う気概はおろか宣伝戦を戦っているという自覚さえも無いままに1つの戦争で2度3度と負け続けていくのみなのだ!」
「あやまるのは簡単だ だらだらとどこまでも自分の意志を捨てておけばいい」
「脳天見せて冷や汗かいて しまいにゃ奴隷になればいい」
「理を通すのはむずかしい」
「工夫がいる ユーモアがいる 主張がいる 礼がいる」
「頭が良くなくちゃできない」
はっきり言って、凄いです。完敗。
今回のゴーマン
2本立て三週目の1本目…と思ったら、今回は16ページ一本でした^^;。
今回は表紙に「パワーアップ第3弾!」と銘打っている。しかし、どうも編集部の扱いが毎回ちぐはぐで一貫性が無い様な感じがする。「わしも「古代史」にはまったの巻」ってのもなんだかなぁ…。目次には、増ページについてはまったく触れていない。
さて、今回は日本人のルーツについて。同じ資料からでも「自虐」ではない歴史を紡ぐ事が出来る!という事。多少ゴーインですが^^;
今回は、じっくり読めば面白いし、色々言いたい事もありますが、なにせ16ページ。細かくチェックしていくと冗長で散漫になりそうなので、ピンポイントでコメントしていきます。歴史は苦手でしたし^^;。
「この日本列島に世界文明よりも古くから高度な文化と社会があったのだ!」
古けりゃ偉いわけではない。世界文明だって、調べてみたらもっと古くからあったかもしれないし。
「高森明勅恐るべし!確実な知識からの洞察で古代を解き明かすシャーロックホームズみたいなやつ…!」
そうかぁ?^^;。単なる仮説の一つにしかすぎんと思うが。
「古墳から同じ副葬品が出てくるという事は同じ死生観同じ宗教観の上に成り立つ同じ儀礼が行われていたということだ。同祖同族意識の観念の共有があったわけだ」
「古墳は朝鮮半島で5世紀段階のものがやっと出てきている」
…ということは、朝鮮半島とも「同祖同族意識の観念の共有があった」という事ですね。
「公共事業としてあるいはお祭りとしてにぎやかで景気のいいものだったのではなかろうか?」
ユニークな発想だが…、古墳のような非生産的な物を公共事業で作るはずはないし、祭りというのも無理があるような…。欄外に書いてるように「人柱」も、祭りの一種?呪術的な要素はあったでしょうが。
「「はには、はおー。めには、めおー。へには、へおー。そんな踊りをやっていたらしい」
^^;。ギャグを外してる^^;。
「冊封体制」
今回のキーワード
「「天皇」とはシナの冊封体制を抜け出してわが国が自主独立を図る覚悟を示した名称なのだ!」
で、大多数の農民にとっての意味は?
「彼ら(朝鮮)は今でも無意識のうちにこう思っているのだ「中国が親で朝鮮がお兄さんで日本が弟わたし達の方が中国に近いもん☆」未だに精神的にシナの冊封体制から抜け出せない」
地理的な問題もある。中国と陸続きの朝鮮半島と、日本海で分断されていた日本列島とでは、中国の影響力は必然的に変わってくる。
日本人が、自分達のアイデンティティを確立するために歴史を作るのは良いと思うが、他人を貶めて、相対的に自分が浮かび上がろうとするような足の引っ張り合いはみっともない。
「…インドは神話か宗教が答えを出すだろう…」
インドは、核実験によって国民のアイデンティティを確立したみたいですね。パキスタンを憎む(貶める)事でもアイデンティティを確立してるみたいです。憎しみからは何も生まれないのにね。
「「歴史」はやはり存在意義の一つの説明の仕方だ」
御意。さて、どう説明しようか。
「「私は私だ!」と言えるのは常に少数者である。絶対に少数者である」
「今も…そして将来はもっとおびただしい人々が「存在の堪え難い軽さ」の前に自らを制御できずに堕ち続けキレ続け病み続けるだろう」
存在の軽さに耐えられない…。結局、小林は大多数の人は「愚民」だと言ってる訳ですね。…多分、その通りでしょう。
今回のゴーマン